界面活性剤が嫌われる理由 〜天然だからいい!?〜
自然派志向、脱ケミカル、オーガニック…
世の中には様々なコンセプトの商品があり、技術の発展や新しい考え方によって選択肢が広がっています。
沢山のモノの中からご自身の考え方に合った選択をする際、何を頼りにしていますか?
宣伝文句をはじめ、口コミ、まとめサイト、専門家の文章などなど、情報も沢山あります。
あっちにはこう書いてありこっちでは…ってこともあるでしょうし、もちろんお財布と相談も必要かもしれません。
ただ、とにかく「自分にとって良いもの」をしっかり選びたい!気持ちに変わりはありませんよね…?
今回はこの「自分にとって良いもの」を選ぶ際に、今一度考えてみたいことについて書かせていただきたいと思います。
天然の界面活性剤だからいい、って本当?
良いか悪いか、ではなく、誤解の多いモノとして「石鹸」があげられます。
石鹸は古くからカラダや何か「なにかを洗う」ために使われているアニオン界面活性剤の代表例ですが、石鹸に対して「危険」と考えている方は少ないようです。
よく見かけるのが「天然の界面活性剤は安全です。キケンなのは合成の界面活性剤」という説ですが、天然=安全というのは本当に正しいのでしょうか?
学校の実験などで実際に作って見たことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも石鹸は高級脂肪酸(または油脂など)を強アルカリ性物質と反応させて合成した成分でできています。
石鹸を作る過程における中和反応やケン化反応は、いわゆる合成反応ではなく「人工」と言っても良いでしょう。
人工の界面活性剤である石鹸はご存知のように数百年間、世界中で「安全に」使われてきたものです。つまり人工の界面活性剤がキケンという一方的な決めつけは間違っている、というより意味のない説であることがわかりますよね。
一方で安全神話のある「天然」においては、例えば天然の活性剤の一種・サポニン類の中には赤血球を破壊する溶血作用をもつものもあります。
界面活性剤にも種類が多くあり、その中には人体に危険なものもあれば安全なものもあって、それが天然だろうと天然でなかろうと安全性には関係がない、ということです。
技術や研究は日々進化しつつあり、化粧品に使われる成分についても、ひとつひとつ安全性を調査しながら選ばれています。
これは安全基準や各種法律によって定められているものでもあります。
たまたま検索で引っかかった文言や、一方的な決めつけを鵜呑みにするのではなく、少し手間や時間はかかりますが「本当かどうか」を調べた上で、好みに合うものを上手に見つけて使いたいですね。